柿が熟れる季節のシル
中庭の柿の木が色づき始めると、シルの一日は少しゆっくりになります。
文 · Boutiquers 写真 · Boutiquers 2026年8月 読了 1 分
シルの中庭には柿の木が一本あります。この家を直す前からあった木なので、正確な樹齢は私も知りません。ただ、十月になるとこの木が家の主になることだけは確かです。朝日が柿の枝を通って窓に入る角度は少しずつ低くなり、板の間に横たわる光は日ごとに長くなっていきます。
この季節のゲストは、たいていコーヒーを手に中庭に立ち、柿がどこまで熟れたかを見上げることから一日を始めます。収穫は私たちの仕事ですが、よく熟れたものはチェックインの時に板の間に置いておきます。とろりと熟した一つに当たったら、その日は運のいい日です。
季節が変わるのを自分の目で見るために田舎へ行く。シルでは、柿の木一本でそれが足りました。
夜は中庭の明かりを消して、浴槽に座ってみてください。夏とは密度の違う闇の中で、月明かりに柿の輪郭がかすかに浮かびます。テレビをあえて置かなかった理由が、この季節にいちばんよく分かります。
最後の柿が落ちる前のシルが気になるなら、十月から十一月の間の日付を選んでみてください。歩いて行ける麺の店の汁がいちばん美味しくなる季節でもあります。